大利根町童謡のふるさと図書館「ノイエ」(建築家:新居 誠之)- 建築作品写真:図書館全景

大利根町童謡のふるさと図書館「ノイエ」

作品解説:

設計趣旨
● 大利根町は埼玉県北東部に位置する人口約1万5千人の町である。大利根川の中流にあり、古くから川と生活を共にしてきた。埼玉県有数の穀倉地帯でもある町の景観の特色は、田園地帯の広がりとそこに散居する屋敷林の様子である。近年、都市化と共に町の景観も変わりつつある。

● 計画地は屋敷全体が寄贈を受けたものである。敷地には水害時に避難所となった水塚、構え掘、屋敷林、竹林、古民家(計画途中で消失したため、草加市より古民家を移築活用した。)があり、この地域の特色を良く示す敷地であった。しかし、半世紀ほどの間無住であったため、どれも荒れ果てた状況であった。

● 我々はこの敷地に残る素材の継承と与えられた条件の一つ、古民家を児童開架室に活用するなど、これらと図書館機能をどのように作り上げるかを求められた。

● そこでテーマは、町の特色を良く表すこの敷地も重要な郷土資料だと捉え、敷地全体、建築も含めた生活の歴史継承が感じられ、建物内外が呼応する図書館環境を目指した。
1. 景観の再生:屋敷林としての景観再生
2. 伐採樹木の活用(里山的思考):当時敷地内に植えられていた樹木が用材・燃料として、日常生活に役立っていたのと同様に、建設のため伐採される樹木を児童開架室の門構え・児童用の閲覧テーブル・エントランスのパンフレット棚・屋外ベンチ・チップ舗装に活用し、敷地内素材の加工を施し、新たな活用方法を試みた。
3. 循環資源の活用:木造・RC造の混構造を主体にし、できる限り循環資源である木材の利用を図った。
4. 寄贈古民家は児童開架室として計画していたが、原因不明の出火で消失してしまった。大黒柱は炭化部を挽いて副柱として児童開架室に再利用した。時の出来事(寄贈・焼失)にまつわる記憶が残ってほしいと願う。
5. 保存樹木:敷地に残る大木は配置計画の上で、多くを保存した。
6. 構え掘り:水の循環がなく枯れた状態であった(水塚を作る際に掘られたと言われている)が、循環させビオトープとして再整備をした。
7. 移築民家の活用:児童開架室として活用。
・住宅をどのように児童開架室に馴染ませるか(住宅の心地よい空間とダイナミックな架構のバランス)→本と読書スペースの柔らかい分離と壁面を書架利用することで、蔵書数を確保。
・補強→耐震壁の設置により、続き間プランが柔らかいつながりのブロックプランとなるそれと蔵書のゾーニングを対応させる。
・ゆったりとした時間の流れが感じられる開架室。
8. 周辺の農村住居形態と同様、事務・書庫棟、一般開架室棟、古民家棟(児童開架室)を分棟とし、既存樹木に馴染むスケールとした。事務・書庫棟は倉をイメージし、2層となる階高を低く抑えコンパクトにして切り妻の屋根を架けた。一般開架室は母屋に見立て、屋根を切り妻とすることで大きな妻開口を設け、緑に包まれた開放的な読書空間とした。古民家棟(江戸時代後期)は離れのように一般開架室棟から離すことで、当時の寄せ棟屋根(間口を一部詰めた)を納めた。分棟とすることでそれぞれの屋根が空間に相応しいシルエットをつくり、光や樹木が落とす影と、いぶし瓦の屋根面とが相まって様々な表情(光に反射し、伸びやかな力強さ・刻々と変わる様相など)を見せることを意図した。
9. 古民家に合わせ基本構造を木造・RCとし、時とともに深みのある表情をつくり、継承される風景に調和した風格のある建築と近代的で開放的な明るい建築のバランスを追及した。(木材は東吾野の森林から調達し、葉枯らし乾燥を試みた。)
10. 古民家は児童開架室として活用し、小屋組みを全体的に表し、時代を感じさせる空間に機能的な整備を加え、新旧の融合を計り、新たな空間の質を探った。子どもたちやその周囲の人たちが落ち着いてくつろげるゆったりとした時間の流れが感じられる開架室を目指した。
11. 床には時間をかけて製品化した間伐材の唐松材(針葉樹)を採用し、杉のムク材・米松(梁)集成材との調和を計った。(針葉樹のムク材で下足履きに対応でき、床暖房の使用にも実績のある材料として、油脂分の多い唐松を時間をかけて製品化した。)
12. メイン設備ルートは床下ピットを設け対応した。
13. 読書スペースのルーバー天井は将来のメンテナンスに配慮した。
14. メインダクト・設備機器は露室とすることで、将来のメンテナンスに配慮した。
15. 照明器具の設置位置も将来のメンテナンスに配慮した。
16. 深夜電力の採用によりランニングコストの低減を図った。

● 町の景観のベースとなるような場になってほしいと願っている。

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作品名 大利根町童謡のふるさと図書館「ノイエ」
ジャンル 公共建築・学校
建築の形態 新築
構造 混構造
予算帯 1億円以上
敷地面積
延床面積
竣工年 2003年
所在地 埼玉県
ロケーション 郊外
構造設計
施工者
外装 外壁
屋根
内装
主要メーカー バス
トイレ
キッチン
その他
メディア掲載

建築家プロフィール

名前 新居 誠之
設計事務所 株式会社和設計事務所
エリア 東京都の建築家
コンペの採用実績

東京都の建築家 新居 誠之

新居 誠之さんの建築 新居 誠之さんの家具

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