建築家と出会う場所 HOUSECO

HOUSECO家づくりアワード

結果発表

3ヶ月にわたり開催いたしました、建築家の建てた家の中から
2010年NO.1の「いい家」を決定するHOUSECO家づくりアワードのグランプリが決定いたしました。
建築家の皆さんの投票により決まった最優秀賞、優秀賞は次の2作品です!

最優秀賞

「伏見のHOKORA」

新田 正樹 ((有)新田正樹建築空間アトリエ)

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名前 新田 正樹
設計事務所 (有)新田正樹建築空間アトリエ
エリア 大阪府

新田 正樹

家づくりのテーマ

京都中心街の南部に位置する伏見は、「池田屋」を始めとして幕末には多く歴史に登場する。しかし現在の面影(敷地周辺)は「伝建築地区」でもなくいわゆる普通の市街区であった。ただ変形した奥に長い敷地形状は妙に怪しい?(いい意味で)魅力をたたえていた。コンペ時当初のプログラムは住宅、店舗、賃貸住居の3要素をプランに組み込むことが求められた、プラス車3台分の駐車スペースも必要とされた。かなり難問であった。…[→続きを読む]

施主のコメント

新田さんとの家づくりはまず驚きから始まった。
コンペ開催時のコメントにも書いたが、希望イメージは「シンプルモダン」だった。
しかし、他の案が皆さん希望通りの軽快な案だったにもかかわらず、新田さんから提案された案はまるで違うものだった。予算が厳しいこともありコンペ参加者がそう多くはなかったので全員にお会いした。
やはり実際お会いすると、模型を持って来てくださる方もいて説明も大変わかりやすかった。…[→続きを読む]

優秀賞

「太子堂T邸」

(有)S.O.Y.建築環境研究所

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名前 山中 祐一郎
設計事務所 (有)S.O.Y.建築環境研究所
エリア 東京都

山中 祐一郎

家づくりのテーマ

中庭と一体的につながるダイニングを中心とした開放的な木造住宅。

ダイニングを生活の中心の場に位置付けた。
“リビングよりもダイニングを大事にしたい” 料理好きな施主夫妻からの要望を受けて、私たちはダイニングキッチンを敷地の真ん中に置き、外との一体感を持つ開放的な空間とする案を提案した。…[→続きを読む]

施主のコメント

S.O.Y.LABO.さんとの家づくりは
「無意識化にあるイメージを共有できた」点において理想の家作りになったと言える。

外部との接点、「環境」という意識とは何か、あらためて考えさせられた。
駅至近で繁華街から一本入っただけの土地環境から
外部の視線をいかに遮断するかに重点をおいていた私たちだったが、
「閉じた家」は「心も閉じる」ことにつながる、というようなアドバイスを得た。
将来「飲食店」でもやりたい、というような冗談にも耳を貸して頂き、私の趣味、キャラクターを理解した上で「外を意識した家」になったと思う。…[→続きを読む]

講評

小竹 貴子

クックパッド株式会社 執行役

この度は、素敵なアワードの審査員に選出いただき本当にありがとうございました。
私ごとですが、2年前家を建てました。
約1年ほどじっくりと建築家と、私たち夫婦はどんな夫婦か、小さいときにどう過ごしたか
これからどんな人生を過ごしたいかなどたくさん話をしました。
そうしてできた家は、心地よく生活も家を中心として大きく変わりました。
今回審査をさせていただくにあたり、ひとつひとつの家に物語があるうえ、そこに建築家の理念が反映されとてもすばらしい作品ばかりで私のようなものが選んでいいのかと本当に苦労しました。
私がいいなと思った作品は、やはり家族への愛がいっぱい詰まっているものはついひいき目にみてしまいました(笑)。
毎日の生活に豊かさと幸せをもとめてそれが家に表現されている。本当に素敵だなと思いました。
まだ建築家と家を建てるということになじみのない方がいっぱいいると思いますが、このような企画などを通しもっと増えるといいなと思います。

坂本 二郎

「LiVES」編集長

今回の最優秀賞である「伏見のHOKORA」と優秀賞の「太子堂T邸」。一見するとかなり作風の違う二作品ではあるが、どちらも「外との距離の取り方」が面白いと感じた。まず、伏見の家は、交通量の多い大通りに面した敷地であるが、店舗も兼ねているということで、外とのつながりを保ちながら、快適な距離感をつくることが求められたと思われる。傾斜屋根や、その間に開いた洞窟のようなデッキ、店舗入り口の上に長く伸びた庇。これらはまずその造形に目がいくが、こうした配置が、前面の道路、そして周囲からの視線に対し、生活空間としてのほど良い距離感を生む効果を果たしていると思う。一方の太子堂T邸。施主の言葉にもあったように、都心の住宅地ということで、まず周囲の視線を遮ることに意識が向きがちだが、ここでは引戸を開け放ち、周囲の環境とつながることによって生まれる快適さを提案している。ライフスタイルを変えてしまうような提案を受け入れた施主と建築家の関係性も素晴らしいと思う。
取材でさまざまな物件を見ていると、完成度は高いものの、周囲と無関係に存在している様な印象を受ける住宅がある。どこで建てても一定のデザイン性や品質が得られる商品住宅が数多く登場し、そのレベルも大きく向上している今。これとは反対に、毎回異なる条件や環境と向き合い、吸収し、毎回違った形に昇華していくということ。建築家との家づくりの醍醐味は、商品住宅の成り立ちとは、全く逆のベクトルにあるのだと、最近強く感じるようになってきている。今回の二作品も、そんな醍醐味を感じさせてくれる作品だ。

下田 結花

「モダンリビング」編集長

人はどこにでも住める、と思う、極論すれば。でも、だからこそ、「自分の家を建てる」ということは、特別なことなのだ。暮らし方に合った家であることは大切だが、あえて建築家にオーダーメイドの家を設計してもらうならば、人生がより豊かになる家であって欲しいと思う。
今回の「HOUSECO 家づくりアワード2010」の住宅は、どれもとてもいい家だった。どの家も住む人の個性と暮らし方を反映しているのだろう。きっと気持がいいに違いないし、住み手は歓びをもって暮らせるだろうと思う。その中で、私が山中祐一郎さんの「太子堂T邸」を選んだのは、住み手が想定していた以外の暮らし方と人生を提示した住宅だったからだ。周囲の自然環境に開き、近隣の住民と関わって暮らすことの可能性と、新しい暮らし方の展開を予想させる設計。建築家の発想だけではない。濃やかなディテールがつくり出す「空間の質」が、圧倒的な存在感をもっている。
空間の質がよければ、家具も暮らしもミニマムにできる。この家に出会って、住み手は人生が変わったはずだ。その「予感」がこの家をさらに魅力的なものにしている。

難波 和彦

一級建築士事務所 (株)難波和彦・界工作舎

住宅の審査は、本来ならば現地に赴き、実際の建築を体験し住み手の意見を聞いた上で判断すべきですが、実質的にそれは不可能なので、HOUSECOのウェブにアップされた応募作品44軒のデータに詳細に眼を通しました。クライアントの要求や敷地条件がそれぞれ異なるため、建築的な表現は多種多様ですが、すべての案が丁寧に設計され、一定以上のレベルに達しているように思いました。差をつけるのはほとんど不可能なのですが、僕の視点から見て、頭ひとつだけ抜け出していると感じた案は「♯0059i-CUBE♯03」(設計:古後信二)と「骨と皮と光の家」(設計:西崎寿志)の2作品です。前者はどのような敷地にも適用可能なプロトタイプ的な住宅、後者は奥行の深い特殊な敷地条件を活かした町家的な住宅と、対照的なデザインですが、両者とも明解なコンセプトにもとづいて、複雑な設計条件を単純なシステムにまとめあげています。内部空間はのびのびとしていて、とても楽しい生活空間になっていると思います。ただ一点だけ僕が不満なのは、両者とも街並に対して閉じている点です。現代においては、プライバシーやセキュリティなどの条件から、住空間を街並に開くことが難しいことは十分に承知しています。しかし閉じた住宅が並んだ街並は、決して豊かとはいえません。クライアントの要求と敷地条件だけを考えていたのでは、豊かな街並は生み出せません。建築家はこの問題に正面から取り組むべきだと思います。しかし応募作品のすべてが、この問題を自覚していないように見えるのが残念でした。

ご応募、投票ありがとうございました!